日が延びてきたので
18時15分。
彼女との待ち合わせの時間だ。
以前も書いたが、彼女の娘さんが塾に行っている間、ほんの束の間だが逢瀬を重ねている。
今日気が付いた。
この時間だとまだまだ明るいと。
うーん、こないだまで18時を過ぎると夜だったのに…。
夜の闇は人目を忍んで愛を育む僕らを包み隠してくれるカーテンだったのに~。
闇のカーテンはいつのまにか遮光からレースになっちゃってる。
声を抑えて楽しんできた濃密なスキンシップもこれからは難しい(エロいね!)。
ここは一つ、考え方を改めねばなるまい。
今後は2人で暮れゆく夕方のひと時を楽しもう。
どう?ステキだよね?
僕の下半身の方から異議を唱える声も聞こえるが、我慢しましょうね!
ホテルにだって行ってるじゃないか。
これから夏至にかけて日脚は伸びる一方なんだからさ。
ナニは無く…、いや何は無くとも。
彼女との語らいは心底楽しいのだ。
得意のシングル・バーナーでコーヒーを淹れて彼女をもてなそう。
広い公園の芝生の上でアウトドア用のテーブルセットを広げよう、うんうん。
車に滑り込んできた彼女にそう伝えると、ニコリと微笑んでくれる。
「そう思ってドーナツ買ってきたよ」って…。
…スゴい!スゴくない!?
僕の懊悩に一体意味はあったのか!?
惚れ直してしまうやろ~(笑)!
芝生の上で淹れたばかりのコーヒーを啜りながら、ドーナツを半分こにして食べる。
中空にかかる細い月を見上げると自ずから言葉は減り、周囲には優しい空気が満ちる。
…いいな。楽しいな。
口に出してはいないのに。
「いいな~!楽しいな~!」
僕の気持ちに重なる朗らかな彼女の声。
……。
…分かった分かった。
君には敵いそうにない。
全面的に降伏します。
飾らない、素のままの感情のヒダにそのままぴたりとはまってくる。
君はやっぱり、特別だ。
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